年配者には懐かしく、若い人には新鮮で、子どもたちには伝えていきたい花火
3月21日火曜日、下道を通って福岡県みやま市まで行ってきました。
大村からは444号で佐賀県鹿島市~白石町~小城市~佐賀市~大川市~柳川市~みやま市
という下道ルートで約3時間。のどかな佐賀平野の風景に癒されながらのドライブでした。
みやま市に入っても果樹園やビニールハウス、畑が続き、iPadのマップも全く別の場所にナビしてくれたりしながら、なんとか目的地に着きました。
ビニールハウス群の中にひときわ目立つ建物。
ここがこの日の目的地。日本で3軒だけのこる線香花火の製作所です。
なぜ酒屋の私が花火の製作所を訪れたかと言うと、ここの花火が圧倒的に本物だからです。
当店では日本酒、ワイン、焼酎、調味料などなど、造り手の心がこもったものを取り扱わせていただいてます。
本物には人を感動させたり、喜ばせる力があります。そうした造り手の人間性が現れたお酒や食品で
日常生活の一コマをよりよいものにしていただけることを理想としておりますので、この花火も当店のコンセプトには何の違和感もないのです。
昭和46年生まれの私は子どもの頃、アーケードの「おもちゃのとみや」さんで買う花火が大好きでした。
線香花火やドラゴン、当時はみんなバラ売りで、子どもの小遣いでも楽しめるものでした。
これがある時期からパックのセットものになり、花火の色も変わってきて、線香花火もすぐ消えてしまうものになりました。
あとで分かったのですが、ある時期を堺に日本の花火メーカーが激減して中国産に変わっていったそうでうす。
今では花火を買おうと思っても、大村ではスーパーやコンビニのセットものしかありません。
うちの子どもにも本物の花火を見せたいのと、本物の花火が地元に売ってないということ。
これは取り扱いさせてもらうしかないというのが、今回訪問した理由でした。
こうして無事、お取引をさせていただけることとなり3月末から当店にも花火が並びます。
ここの花火は、年配者には懐かしく、若い人には新鮮で、子どもたちには伝えていきたい本物です。
ぜひ一度手にとってご家族で楽しんでいただきたいと思います。
みやま市は以前は十数件の花火製作所が並んでいて、町の産業としての歴史があります。
八女市に日本で唯一あった線香花火の製作所が廃業するときにこの筒井製作所のご主人が
そのノウハウを引き継ぎ、今に至っております。
線香花火って関東と関西では別のものということはご存知でしょうか。
米栽培が盛んな西では稲わらの芯のわらすぼの部分を線香花火の芯にします。
ぶら下げてあそぶ一般的な線香花火と違い、上を向けて遊ぶものです。
火をつけて玉になった部分を落とさないように上手に芯の上に乗せながら、軽く息を吹きかけて遊びます。
息を吹きかけると火花の散りが激しくなり、吹き加減で色々な変化を楽しめます。
このわらすぼを確保するのが現代では難しく、日本でこの西の花火を造るのはここ1軒のみとなりました。
関東では江戸時代に線香花火が伝わったときに米栽培が盛んでなく、紙すきが盛んだったため
稲わらの代用品として紙すきで線香花火を造るようになったそうです。
それが現代では主要なものとなり全国に広がっています。
ここの東の線香花火は、一般的なものとすると燃焼時間がかなり長く、火花もきれいなのが特徴です。
火花にも色々な呼び名があり、日本らしい風情が感じられます。
蕾(つぼみ)
牡丹(ぼたん)
松葉(まつば)
散り菊
この日本の伝統的な花火をどうぞご家族、お友だちとお楽しみ下さい。